「グローバル」と言うのは最近の教育業界でのキーワードとなっています。「グローバル化を目指す学校」で「グローバルなスキルを学生に身につけさせる」ことが多くの教育機関で目標となっています。
「グローバル化」と聞くと、社会が、国と言う単位を超えて、1つの大きなまとまりとなる過程を指すイメージは持てますが、
「グローバルなスキル」と聞いて、どのようなスキルかをイメージできるでしょうか。 この記事ではグローバルなスキルとして提唱されている多様なスキルを紹介します。
グローバル人材


2013年に、日本政府はグローバル人材を
「日本人としてのアイデンティティーや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性と積極性、異文化理解の精神等を身につけたさまざまな分野で活躍できる人材」と定義しています。
<総務省:グローバル人材育成の推進に関する政策評価—評価結果に基づく勧告—>
3つのスキル
グローバル人材育成推進会議は、グローバル人材に必要なスキルを大きく3つ取り上げています。
要素Ⅰ: 語学力・コミュニケーション能力
要素Ⅱ: 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素Ⅲ: 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー
- このほか、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等。
<「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」(2011年6月) グローバル人材育成推進会議3>
定義が大まかなので、イメージが出来るような、出来ないような感じです。
「グローバルスキル」以外の呼び名で、スキルが話題になるともあります。
ATC21s
ATC21s(Assessment and Teaching in 21st Century Skills)という機関は、21世紀型スキルと言うスキルを提唱しています。 ATC21sは、2009年に始動したIntel、Cisco、MicrosoftのIT企業3社とオーストラリア、フィンランド、ポルトガル、シンガポール、英国が参加しているプロジェクトです。アメリカは2010年から参加しています。
ATC21sはスキルを大きく4つの領域に分け、その中に10個のスキルを定義しています。
思考の方法(Ways of Thinking)
(1)創造力とイノベーション
(2)批判的思考、問題解決、意思決定
(3)学びの学習、メタ認知(認知プロセスに関する知識)
仕事の方法(Ways of Working)
(4)コミュニケーション
(5)コラボレーション(チームワーク)
仕事のツール(Tools for Working)
(6)情報リテラシー
(7)情報通信技術に関するリテラシー(ICTリテラシー)
社会生活(Skills for Living in the World)
(8)地域と国際社会での市民性
(9)人生とキャリア設計
(10)個人と社会における責任(文化的差異の認識および受容能力を含む)
<内田洋行教育総合研究所: 意外と知らない”21世紀型スキル”(vol.2より>
その他にもOECDやEU、そして中央教育審議会の「生きる力」など、様々な組織がこれからの社会で重要となるスキルを提唱しています。
キッコーマンの名誉会長の茂木友三郎氏は、グローバルな時代に必要な能力として、「教養豊かな日本人であること」・「専門能力」・「異文化適応性」・「言葉」の4つを挙げている。特に、言葉に関しては2つの外国語を習得すべきだと発言されています
<さぴあ July 2016より>。
様々なスキルが重要だと言われています。
定義の違いにいちいち惑わされずに、それぞれの人が、何がこれからの世界で重要だと思うかをしっかりと考えることが大事だと思います。